shoushouteiのブログ

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落語雑感!下げが同じ落語

上方落語「鯉船」と「権平狸」

鯉船は、桂米朝師匠だけと思いますが、回りの髪結い磯七。町内では便利屋、愛嬌者で世話好き。花代のかからない幇間のような男で町内では人気者です。

ある若旦那が東横堀に船を浮かべて網打ちに行こうというのを、磯七が橋の上から見付けます。

お供しますと無理やり船に乗り込み、若旦那に網を打ってみろと言われた磯七。鯉が釣れますが、船べりでは料理は難しく髭を剃ると逃げられる。

下げは、逃げた鯉が水から顔を上げて、「磯はん、こっち側も頼みまっせ」

権兵衛狸は、初めは東京のみで演じられていたが、近年は上方に移植されて演じられている。民話の香りのするほのぼのとした小品である。三遊亭金馬立川談志らの持ちネタとして知られる。
田舎に一人住いをする権兵衛は百姓の傍ら髪結床を営んでいる。

トン、トンと雨戸をたたく音につづいて「ご~んべ~」と自分の名を呼ぶ声がする。

はて、誰だろう。誰か忘れ物でもしたのかと、知り合いの名を呼んでも何の返事もなく、相変わらず、トン、トン、「ご~んべ~」。

戸を開けると誰もいない。これは山の狸が悪さをするなと権兵衛は考えた。雨戸をガラッと開けた。

叩く目標を失った狸が転がり込んでくる。それからはくんずほぐれつの格闘戦。権兵衛は必死に抵抗する狸に腕を引っかかれつつも、見事狸を捕まえる。

翌朝、村の者が野良仕事前にやってくる。

「『朝茶は難を逃れる』というから茶でも飲んでけ」と勧める権兵衛だが、茶の中に何やら獣の毛が入っているのをいぶかしむ村の者。

「ああ、それなら上見てみろや」

村の者が上を見ると、狸が逃れようともごもご動いている。

「あの狸どうしただ」という村の者に権兵衛が昨晩の武勇談を話すと、

「ああ、こいつだな。こないだお月さんに化けておらびっくりさせたのは」

どうも、他にも余罪があるようで。

「お前のような狸は狸汁にして食うてやるべえ」という村の者に、「おらもそう思っただが、今日は父っつぁまの祥月命日だから殺生はいがね」と権兵衛。

村の者が野良仕事に行った後、「今日はそういう事情があるだで命までは取らんが、二度と悪さこかんように懲らしめてやるべえ」と、権兵衛剃刀を持ち出すと狸の頭を剃り始める。

さすがは本職、きれいに丸坊主に剃り上げると、「今度悪さぶちたくなったら、どうしてそんな頭になっちまっただか考えるだぞ」と言って放してやる。

数日後、いつものように村の者を送り出し、床についてまどろみかけると、戸を叩く音がして「ご~んべさ~ん」

「あんれまあ。助けてやったら『ご~んべさ~ん』だと。懲りねえ狸だなあ」

怒った権兵衛、こんどこそ狸汁にしてやると戸を開けると件の狸が飛び込んできて、

「親方ァ、今度ァ髭剃っておくんねぇい」