落語雑感!「死神」
落語「死神」は、圓朝師作ですが、グリム童話を基にした珍しい噺。
グリム童話の「死神の名付け親」は、貧乏な男のもとに子が生まれる。男は名付け親のなり手を捜し街道に出た。神、悪魔、死神と順に出会い、死神に息子の名付け親になってもらう。
成長した息子のもとに死神が現れる。死神は息子を薬草の群生地に案内し、「お前が病人の元に呼ばれることがあれば私も付いていこう。私が横たわる病人の枕元に立っていたら薬草を飲ませなさい。その人間の命は助かる。足下に立ったならその人間の命は私のものだ」と教える。息子は死神の教えを利用して名医になるという噺。これをモチーフにした圓朝師の名作。
日本では、黄泉の国を司ると言えば、イザナミの伝説が思い出されますが、落語の死神は、仙人というイメージでしょうか?
グリム童話でも人の命はロウソクの火という噺ですが、日本の昔話「寿命は蝋燭」という噺もあり、人間の考えるイメージは、古今東西同じようなもんだと感心します。